こんにちは。子育てをしながらPR会社の代表を務めているヨネザワです。中小企業診断士として主にBtoBビジネスを展開する中小企業の広報支援に携わっています。
BtoB商材は一般消費者には馴染みが薄く、関心を集めにくいため、その魅力や価値が伝わりづらい傾向があります。
実際、「うちはBtoBだからPRできるネタがない」「プレスリリースを配信してもBtoCの企業の情報に埋もれてしまう」といった声をよく耳にします。
それでも、BtoB企業にとって広報は決して無縁ではありません。
広報活動はブランドの信頼性を高めるだけでなく、新たなビジネスチャンスも生み出します。とはいえ、実際には人員や予算の制約によって、広報に十分取り組めていない企業が少なくありません。
この記事では、なぜBtoB中小企業の広報が難しいのか、そしてどんな切り口でネタを探せばいいのか、私の経験も交えてご紹介します。
BtoB中小企業の広報が難しい3つの理由
まずは、BtoB中小企業の広報が難しい主な理由を3つ挙げてみます。
理由①製品・サービスの専門性が高い
一つ目は、製品やサービスの専門性が高いことです。BtoB企業が扱う商材は専門性が高く、メディア記者にとっても内容を理解しにくい場合がほとんど。そのため、記者も「どんな企画や切り口にできるのか」をイメージしにくくなりがちです。
さらに、BtoB商材はターゲットとなる顧客層が限られているため、「多くの人に伝わる話題」として成立しにくい面があります。結果として、「世の中に広く届けたい」というメディアの視点からは、記事にするメリットや広がりを感じにくい。こうした事情が、BtoB中小企業の広報を難しくしているのです。
理由②製品・技術がどこで使われているか公表できない
二つ目は、BtoB企業ならではの「社名や実績を公表できない」という事情です。本当は「誰もが知る有名企業の製品に自社技術が使われている」と伝えたいところですが、契約の関係でそれができません。
その結果、広報活動への意欲はあっても、製品やサービス以外に何をアピールすればよいのか分からず、広報自体が後回しになってしまうケースが多くなります。
理由③自社の今に合ったPR戦略を選べていない
三つ目は、自社の現状やステージに合ったPR戦略を選べていないことです。
多くの経営者は「自社の製品や技術をもっと世の中に知ってもらいたい」という強い想いを持っています。しかし、知名度や信頼の土台がまだ十分でない段階で、製品そのものをPRしても、一般ユーザーやメディアの関心を集めるのは難しい。
そのため、私は「社風や働き方、社会貢献活動」といった製品以外の切り口で発信する方法をよく提案します。こうしたテーマは多くの人にとって身近で共感しやすく、したがって記者も「この会社で取り扱っている商品・サービスはよくわからないけど、働き方は多くの企業に参考になる事例だ」と思ってもらえれば、取材いただける確率が高くなるのです。。
とはいえ、「うちは技術で勝負している会社なのに、なぜそんな遠回りを?」と戸惑う経営者の方も少なくありません。
大手企業が製品PRだけで注目されるのは、長年かけて築き上げた知名度やブランドへの信頼という土台があるからです。中小企業が同じ効果を得たい場合、まずは会社そのものへの興味や信頼を積み重ねていくことが重要です。
実際に、ユーザーやメディア記者が「この会社、なんだか面白そう」「応援したいな」と感じるきっかけは、意外にも人間味あふれるストーリーや社会との関わり方であることが多いのです。
広報ネタを見つけるコツは、時流との掛け合わせ
BtoB中小企業の広報ネタを見つける最大のコツは、「時流」と自社の取り組みや強みをうまく掛け合わせることです。
いま社会で注目されている話題や動きと結びつけて発信することで、記者や読者の興味を引く「ニュース性」が生まれます。
たとえば、トランプ関税の動向が海外戦略にどんな影響を及ぼすのか、2025年4月に施行された育児介護休暇法の改正が中小企業の女性活躍や働き方改革にどう関わるのか。こうした社会の動きとクライアントの課題や会社の取り組みを掛け合わせて考えることで、「これは広報ネタになる!」という発見が生まれるのです。
実際、私が広報支援を担当している町工場ももこのパターンでした。この会社は、約40人いる従業員のうち、製造業では珍しく7割以上が女性。「女性活躍推進」という時流にもあい、全国版の日経新聞を含む、数多くのメディアに取材をいただきました。

一般的に男性が多いと思われている業界で、多くの女性が生き生きと働いている。その背景にどんな社風や制度があるのかを深掘りすることで、ニュース性のある広報ネタとして認められたのです。
自社にとっては当たり前だと感じることも、時流というフィルターを通して見ると、実は非常に価値のある、そして多くの人が関心を寄せる強みになり得ます。
自社にとっては当たり前だと感じることも、時流というフィルターを通して見ると、実は非常に価値のある、そして多くの人が関心を寄せる強みになり得るんです。
こうした「時流との掛け合わせ」に気づくためには、FacebookやX(旧Twitter)などのSNSをチェックするのもおすすめです。
これらのSNSには、「こういう切り口で取材が決まった」といった成功事例が日々投稿されているので、参考になります。ぜひ、ご自身の業界や競合企業のSNSは積極的にフォローしてみてください。
ホームページの整備で広報効果を最大化
広報活動が少しずつ実を結び、メディアへの露出が増えてきたときに、重要なのが「企業の顔」ともいえるホームページです。
せっかくメディア掲載やプレスリリースをきっかけに「この会社、面白そう」「もっと詳しく知りたい」と興味を持っても、ホームページの情報が古かったり、必要な情報が見つけづらかったりすると、せっかくの関心がそこで途切れてしまうことがあります。
最悪の場合、「この会社は情報発信に消極的なのかな」「本当に信頼できるのだろうか」と、不安や不信感を与えてしまうことにもなりかねません。
ユーザーの関心を次のアクション(問い合わせや資料請求など)につなげるために、受け皿となるホームページが見やすく、最新情報がきちんと整理されていることが不可欠です。
特にBtoB中小企業の場合、製品やサービスをじっくり比較検討するお客様が多いため、ホームページは「問い合わせにつながる生命線」とも言えます。
まとめ
BtoB中小企業の広報は、製品やサービスの専門性が高いことや、情報公開に制約があることから、BtoCと比べて成果を感じにくいのが実情です。
それでも、社会の関心事と自社の取り組みを掛け合わせて発信したり、ホームページをしっかり整備したりと、工夫できることはたくさんあります。
「広報スタッフを置きたいが人手やノウハウが足りない」「プレスリリースを出してもメディアから反応がない」など、広報に関するお悩みがあれば、ぜひ当社の外部広報室長サービスをご検討ください。
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