中小企業の「取材されるネタ」の見つけ方|町工場が新聞に載った実例3つ

中小企業の取材されるネタの見つけ方 町工場の実例3つ

「うちには新商品もないし、ニュースになるような話はない」。中小企業の経営者の方から、よく聞く言葉です。

結論からお伝えすると、取材されるネタは新商品だけではありません。町工場やBtoB企業のような中小企業では、「働き方」「地域とのつながり」「人」のネタが、記者の関心を集めやすいのです。この記事では、ネタの見つけ方と、弊社の支援先が実際に新聞や経済誌に取り上げられた3つの実例をご紹介します。

この記事は、中小企業診断士・PRプランナーとして3年間で160本以上のプレスリリースを書き、支援先の報道掲載につなげてきた、ワンパーパス株式会社 代表の米澤智子がまとめています。

目次

記者が「取材したい」と思うネタの3つの条件

記者が追いかけているのは、時代の変化です。池に石が落ちると波紋が広がっていくように、社会の変化も、最初はどこかで起きた小さな動きから始まります。記者は、その「新しい波の最初」をいち早く捉えて、読者に伝えたいと考えています。

だから記者は、会社の宣伝や売り込みには興味を持ちません。知りたいのは、その会社が、社会や時代をどう変えようとしているのかです。中小企業の小さな取り組みでも、時代の新しい波の「最初の一滴」になっていれば、立派なニュースになります。

中小企業のネタが記事になるときは、次の3つのうち、いくつかがそろっています。

  1. 社会の変化を映している:人手不足、女性活躍、働き方改革、脱炭素など、いま社会が関心を持っているテーマとつながっている
  2. 数字や言葉で一言で言える:「女性が7割」「服装を自由化」のように、見出しになる短い言葉がある
  3. 取材できる「場」や「人」がある:イベント、式典、現場、話を聞ける社員など、記者が足を運んで写真や声を取れる

メディアが興味を持つ4つの切り口

同じ出来事でも、どの切り口で伝えるかによって、記者の反応は大きく変わります。ネタを考えるときは、記者の視点に立って、次の4つの切り口があるかどうかを確かめてみてください。

切り口どういうことか具体例
新奇性新しいこと、珍しいことほどニュース価値が高くなります。「〇〇初」、新商品・新サービス、新しい取り組み
タイミングニュースの価値は絶対的ではなく、その時々の話題との比べ合いで決まる「相対的な価値」です。豪雨災害、お月見、ハロウィーン、GREEN×EXPO(2027年国際園芸博覧会)
地域性記者の担当エリアや読者の地元と関わりがあると、取り上げられやすくなります。会社の所在地、経営者や社員の出身地、イベントを開く地域
異常性「ほんとうに!?」「え!?」と聞き返したくなるような驚きの要素です。女性7割の町工場、高齢者がAIを使いこなしている、特大かき氷

たとえば、後ほどご紹介する「女性7割の町工場」は、「異常性」の切り口です。製造業は男性が多いというイメージがあるからこそ、「え、町工場なのに女性が7割?」という驚きが生まれ、記者の目にとまりました。

中小企業で取材されやすいネタ7つ

社内を見渡すときは、次の7つの視点で探してみてください。上にあるものほど、町工場やBtoB企業で見つかりやすいネタです。

  1. 働き方の工夫:女性や高齢者の活躍、服装や勤務時間の自由化、副業、育休の取得など
  2. 人のストーリー:職人の技、異業種からの転職、親子で継いだ事業承継など
  3. 地域・学校・自治体との連携:地元の学校との授業、自治体との共同プロジェクト、地域の特産品づくりなど
  4. 自社が持っている数字:社員アンケート、取引データ、業界の調査など
  5. 地域初・業界初の取り組み
  6. 季節や記念日:記念日や業界の繁忙期・閑散期に合わせた話題
  7. 会社の節目:創業〇周年、新工場、代替わりなど

特に「働き方」のネタは、人手不足に悩む多くの会社や働く人にとって身近なテーマです。中小企業ならではの小回りの利く取り組みは、大企業の事例よりも読者に響くことがあります。

実例1:「女性7割の町工場」というキャッチコピーで、新聞の日曜版と全国紙に

製造業のスリーハイは、当時、社員の約7割が女性でした。社内では当たり前だったこの事実を、弊社では「女性7割の町工場」という一言にまとめました。

さらに、仕事が落ち着く夏の閑散期を使って、このテーマでWebセミナーを開催することに。その告知をプレスリリースにしたところ、新聞社の記者がセミナーの前・当日・後と3回にわたって取材に来てくださり、日曜版に大きく掲載されました。

セミナーの後には、当日の様子をまとめた「事後リリース」も出しました。すると約1年後、そのリリースを見た全国紙の記者から取材の依頼があり、全国版に掲載されました。

支援事例はこちらもご参照ください。

この実例のポイント

  • 社内の「当たり前」(女性比率)を、見出しになる一言に変えた
  • 閑散期を使ってイベントという「取材の場」をつくった
  • 終わった後のリリースが、1年後の全国紙の取材につながった

実例2:服装の自由化を「導入前後の変化」で伝え、経済誌の取材に

BtoB企業のB社は、社員の服装を自由にする「ドレスコードフリー」を導入しました。ただ、制度を変えたという事実だけでは、ニュースとしては弱くなりがちです。

そこでプレスリリースでは、導入した理由と、導入前と後で社員や職場がどう変わったかを具体的な事例とともに紹介しました。このリリースを経済誌の記者が見つけ、取材につながりました。

この実例のポイント

  • 制度そのものではなく、「何が変わったか」を事例で伝えた
  • 働き方改革という、経済誌が追いかけているテーマとつながっていた

実例3:地域の特産品を首長に贈呈し、毎年の「恒例ニュース」に

C法人は、地元の自治体や企業と連携して地域の特産品を開発していましたが、広報活動としては地元のアンテナショップで販売するのみでした。そこで、弊社の支援開始から、完成した特産品を市長に贈呈する場を設けることにしました。

贈呈式は、記者が取材に来やすい「場」になります。市長が登場し、写真が撮れて、地域の話題として伝えやすいからです。この贈呈式は毎年の恒例となり、そのたびに複数の新聞に掲載されるようになりました。

この実例のポイント

  • 取り組みに「贈呈式」という取材の場をつくった
  • 毎年続けることで、記者にとっての「季節の恒例ネタ」になった

社内でネタを見つける10の質問

社内のネタは、経営者や担当者が「当たり前」と思っていることの中に眠っています。次の質問を、社員や経営者に投げかけてみてください。

  1. 社員の男女比や年齢構成で、業界の平均と違うところは?
  2. 最近、働き方や制度で変えたことは?
  3. その制度を入れて、社員や職場はどう変わった?
  4. 長く勤めている社員や、ユニークな経歴の社員はいる?
  5. 地元の学校や自治体と、一緒にやっていることは?
  6. お客様から言われて、うれしかった言葉は?
  7. 「うちが最初」「地域で唯一」と言えることは?
  8. 社内で数字にできるもの(件数、割合、年数)は?
  9. 仕事が落ち着く時期はいつ?その時期に何かできないか?
  10. 今年、会社の節目(周年、新設備、代替わり)はある?

「ネタはあるのに載らない」ときの見直し方

ネタがあっても掲載されないときは、次の3つを見直してみてください。

  • 切り口:会社の宣伝になっていないか。社会の変化とのつながりを一文で言えるか
  • タイミング:記者が関心を持つ時期(関連する記念日、季節、社会の話題)に合わせているか
  • 場:記者が足を運んで、写真や声を取れる場面があるか

プレスリリースの書き方と記者への届け方は、【2026年版】中小企業のプレスリリースの書き方と届け方|横浜・神奈川の記者クラブ活用法で詳しく解説しています。広報を始めたばかりの方は、広報担当者がいない中小企業の「広報の始め方」もあわせてご覧ください。

よくある質問

Q. 新商品がない会社でも、プレスリリースは出せますか?

出せます。中小企業で記者が関心を持ちやすいのは、新商品よりも働き方の工夫や地域とのつながり、そこで働く人のストーリーです。社内の「当たり前」の中に、社会の変化を映すネタが眠っていることがほとんどです。

Q. 働き方の制度を変えただけでも、ニュースになりますか?

制度を変えたという事実だけでは弱いことが多いです。導入した理由、社員の声、導入前と後で何が変わったかをセットで伝えると、記者が記事にしやすくなります。

Q. イベントや取り組みが終わった後に、リリースを出す意味はありますか?

あります。終わった後のリリースは、当日の様子や反響、数字を入れて「実績」として残せます。ネット上に残るので、後から記者が見つけて取材につながることもあります。

社内のネタ探しを、研修で一緒に

ワンパーパス株式会社では、経営者や社員の方に向けて「ニュースになるネタ」の見つけ方を学ぶ研修・講演(2時間10万円〜・税別)を行っています。ワークショップ形式で、自社のネタをその場で洗い出すこともできます。広報の戦略づくりから社内の体制づくりまでを伴走する、6か月間の個別伴走コンサルティングも承っています。

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